新年の特別授業でお招きしたのは、全席個室のシェアリング型サロンstoriiz(ストーリーズ)代表・吉岡龍介講師。
人気サロンairに9年間勤務され独立。
「美容師が自分らしく働ける環境を作りたい」とstoriizをオープンさせ、
東京と広島の2拠点をベースにご活躍されています!
採用担当も経験されていたというキャリアから、「就職活動のポイント」についてもお話をうかがいます。
吉岡講師「よろしくお願いします!」
Q.まずは基本的な質問から。どのような学生がほしいですか?
「一般常識がある人、空気が読める人がいいですね。
例えば、30分の面談で自分が10分も15分も話してしまうと、他のコが話す時間がなくなってしまう。
グループ面接なら、他の人の意見にも耳を傾けて、聞く姿勢を見せるなど協調性がある人がいいですね」
Q.服装や髪型はどうしたらいいですか?
「自分の好きなテイストは出したほうがいいと思います。
面接で大切なのは、第一印象で『いいな』と思ってもらうこと。
美容師は選ばれるお仕事ですから、選んでもらえなければ髪を切ることができません。
個人的な意見ですが、面接では、『いいな』と思ってもらえるようなファッションでのぞむといいと思います」
Q.学生時代にやっておくべきことはありますか。
「理想像を明確化すること!現段階のものでいいです。
僕も、最初はヘアメイクになりたいと思っていました。
でも、ヘアメイクの仕事を経験して『クライアントが喜ぶものを作るよりも、
ダイレクトにお客様に施術するときの喜びのほうが大きい』と気付きました。
理想は、年齢や環境によって変わっていってもいいと思います。
こうなりたいというイメージを明確にして書き出したり、
目につくところに貼ってみたりするといい。
友だちや家族に、自分の理想を伝えるのもいいと思います」
学生たちからは、こんな質問もあがりました。
Q.緊張すると作り笑いになっちゃうのですが……自然な笑顔と、作り笑いの違い、面接官は分かりますか?
「面白い質問ですね(笑)自分を飾りすぎると、全部見透かされると思います。
志望動機も同じ。あらかじめ作ってきたもの読み上げるよりも、自分の言葉で想いを表現できるといいですね」
Q.第一志望に受からないかも……そう考えると心配です。
「第一志望はあると思います。でも、どのサロンに入っても骨をうずめることは少ないと思いますよ。
もしも第一志望に落ちてしまって、別のサロンに就職するとしても
『美容師をするうえでの通過点』と割り切ればいいと思う。
今の時代、YouTubeで技術をオープンにしている人も多いので学ぶことはどこでもできます。
お店に尊敬できる先輩がいるかで選ぶことが大事ですね。
どうしても肌感が合わないならば、他の美容院に髪を切りに行って雰囲気を知るなど、方法はあると思います」
続いては、ウェットカット、ブロー、ドライカットまでの流れをデモンストレーションしていただきます。
<技術デモンストレーション>
「今日は、モデルさんの髪を3~4cm切ります。
長さはあまり変えず、顔まわりにレイヤーを入れます。
アイドルのコを切るときに多いスタイルで、レイヤーで動きを出しながら、
巻いたときにも動きが出る2wayスタイルです」
まず、髪全体を濡らして、ブロッキングします。
モデルさんに下を向いてもらい、背面のブロックをカットしていきます。
吉岡講師「ウェットカットはとても大事!丁寧に切っておけば、その人が家に帰ってもスタイリングしやすいです」
次にモデルさんの右側のブロック、左側のブロックをカットしていきます。
吉岡講師「レイヤーは前下がりに入れて、毛先に重みを残します」
講師の手元を注意深く見つめ、メモを取る学生たち。
細かな技術にも質問が寄せられます。
学生「顔まわりをジグザグに切ったのはなぜですか?」
吉岡講師「最初は、ジグザグに切る『チョップカット』のほうがドライカットの時になじむから。
毛先を揃える『ブラントカット』だと、バツッとした感じになっちゃうので」
続いてはブローです!
吉岡講師「実は、ブローができない美容師さんって、めっちゃ多いんですよ。
でもね、ブローの習得はヘアメイクさんになりたいなら必須です。
ブローが上手だとヘアデザインの理解も深まります。
例えば、ご年配の女性はトップのボリュームが出づらいと悩んでいる方が多いですが、それもブローで解決できます。
僕が働いたairというサロンでは、ブローにも合格基準が設けられていて、
技術試験に合格しなければ次のステップに上がれませんでした。
僕自身は、ブローが得意なことで獲得できたお客さまが多いと思います」
と、重要性を強調されていました。
学生「早く乾かすコツはありますか?」
吉岡講師「根元から中間、毛先に向けて乾かしていくこと。
こうすると、髪表面のキューティクルが整い綺麗な仕上がりになります。
ブリーチをしている髪などは、毛先から渇いていってしまうので根元から乾かすことが大切です」
ドライカットでは、「笹刃(ささば)」と呼ばれるハサミを使ってスライドカット(※1)していきます。
※1スライドカット……髪を地面と垂直に持ち上げてから、
持ち上げた髪の下側にハサミを入れ、毛先から根元にむかって細かく切っていく技術。
吉岡講師「毛のブツッと切った感じを、なじませるためのハサミなんですよ」
アレンジも、短時間でできる再現性の高いものがいいと話します。
その理由は……
「お客さんは、朝はそこまで時間をかけられない人が多い。
なので、毛先をワンカール巻くとか、忙しい朝でもできるスタイルを教えてあげるのがいいと思います」
とアドバイス。
講演会の最後
「まずは、技術を磨くことが大事です。でも、時代の流れに取り残されちゃうと、長続きしません。
流行していることはミーハーに取り入れるのもいいと思います。
そして、『また会いたいな』と思ってもらえるような、人間的な魅力を持ってください。
もうひとつ心がけてほしいのは、自分が得意じゃないこと、好きじゃないことも知ろうと努力すること。
僕は、野球の話も、アイドルの話もできますし、マダム向けファッション誌にも目を通します。
さまざまなことに興味を持ち、視野を広げて、唯一無二の美容師になってください!」
とエールを送りました。
新年早々、面接の心得から技術的な指導まで、学びの多い時間となりましたね!