【ヘアメイク専攻1年生が考える「ウエディング」ヘアメイクとは?
自由な発想溢れる、シューティング現場をレポート】
「ウエディング」と聞いてどんな花嫁を思い浮かべますか?
純白のドレスに、ブーケ……ヘアは、メイクは?
一言で「ウエディング」といっても、思い浮かべるイメージは人それぞれ。
バンタンデザイン研究所高等部ヘアメイク専攻1年生が今、表現したい
「ウエディング」とはどのようなものでしょうか?
今回は、撮影実習をレポートします。在校生(以下、メンバーと呼びます)が、
個々でモデルさんを依頼し、ヘアメイクを行いました。
小物、ドレス選びなども、トータルでプロデュースします。
監修するヘアメイク・岸野講師は「ブライダルのお仕事は、お客さんがいて成立するお仕事。
自分がやりたいことというよりも、相手が希望するヘアメイクをしてあげることが最優先です。
今回は、メンバーがやりたいことを表現してもらう授業です。衣装は白であればOK!他に、ルールは設けていません。
ドレスを着なくても構いません。自由な発想で、やりたいことを思い切り表現してほしいなと思います。
メンバーには、事前に『コンセプトシート』と呼ばれるヘアメイクのイメージを提出してもらっています。
1年間技術を学び、自信もついていると思います。自分のコンセプトを忠実に表現できているかを見ます」と話します。
〈1. 下郡さん〉
ヘアには、ウエーブヘアに。フラワーの冠をつけ、華やかなスタイルに。
「ヘアに花冠を使うので、それに合いそうなドレスを直感で選びました。
メイクはモデルさんの可愛さを活かしたナチュラルなメイクです」
撮影が始まると……
下郡さん「歯を見せた笑顔、可愛いです!歯を見せない笑顔もお願いします」
と、モデルさん、カメラマンさんに希望を伝えていきます。
恥ずかしがったり、自分の意見を言えないと、思うような作品にディレクションすることができません。
「前回の撮影では、思うようにポージングの指示を伝えられなかったのですが、
今回はバリエーションを出すことができてよかったです」と話します。
〈2. 海老沢さん〉
儚さかも強さもある「少女」というテーマを設けた海老沢さん。
「ヘアやメイクを盛りたいというよりも、モデルさんの格好よさを全面に出したくて。
本人からインスピレーションを受けたワントーンメイクに仕上げました」
とこだわりを明かします。
「東京サイコパス」のメンバーとしても活躍するモデルさん。独特のオーラが溢れています。
撮影中は「めっちゃ可愛いです!」「完璧です!」と終始声をかけて、満足そうでした。
これまでの固定概念にとらわれないウエディングスタイルを提案します。
〈3. 吉野さん〉
おだんごヘアに、白いフラワーをのせて。
また、ドレスには血が……という独特の世界観を表現した吉野さん。
「『毒姫』という漫画がコンセプトです。
幼少期から少しずつ毒の入ったご飯を食べさせられ、敵にスパイとして送られるプリンセスをイメージしています」
メイクのこだわりについては
「つけまつ毛を付けようかと思っていましたが、モデルさんの三白眼が可愛いので、
赤黒のラインを引き、目を活かすアイメイクにしました。
ヘアはおだんごのボリュームを出すのが難しかったですが、予想よりも上手く作れました」
と嬉しそう。
〈4. 比嘉さん〉
「かすみ草」をテーマにした比嘉さん。
「かすみ草の花言葉『華麗なる美』がテーマです。
ヘアはアップスタイルで、ルーズさも出しています。
メイクはブラウンのアイグロスでツヤ感を出し、可愛らしいメイクにしました」
撮影が始まると……「いいです!後ろを振り返ったようなポーズもお願いします」
と、臆せず意見を伝えていきます。
フォトグラファーさんも「もうちょっと笑ってみて。目線は下にしてみて」
岸野講師も「いいですね!口を閉じて、口角を上げたバージョンもください」
とリクエスト。
さまざまなポージング、表情をおさえることができました。
「授業で、ルーズさもあるアップヘアを学びました。
学んだ技術を、作品作りに活かせて良かったです」
と顔をほころばせます。
〈5. 二田さん〉
直前まで、モデルさんのヘアにドライフラワーをデコレーションしていた二田さん。
「テーマは花です。リップには、花の形のシールをつけています。
プリンセスのようなウエディングを提案したいです」
ルーズなフィッシュボーンヘアが、印象的。
後半にチャレンジした、顔回りに手を添えるポージングが特にお気に入りなのだそう。
〈6. 渡邉さん〉
テーマは、美しさ、透明感。メイクはパウダーをのせすぎず、透明感、ツヤ感を演出しました。
ヘアは「毛の流れを活かしたアップスタイルです。
すき毛を入れて、ボリュームアップしています。特にヘアが難しかったですね」
〈7. 久木野さん〉
「ロイヤルウエディング」がテーマの久木野さん。
「1920年代に流行した『フィンガーウエーブ』に挑戦したくて、頑張りました。
メイクはゴールドのラメをふんだんに使っていて、唇の『キューピットライン』
(※1)と呼ばれる部分にもラメをのせています」
シューティングが始まると「少し笑ってみて。真顔になってるよ~(笑)」
と、モデルさんに声をかけ、表情を和らげていきます。
グローブをはめた手先を入れたり、冠に手をそえてみたり……
と積極的にポージングを変えて、見せ方にも工夫を凝らしました。
「授業でヘアアレンジしたときよりも、今日の方が上手にできました」
と手応えを感じていましたよ。
そばで撮影を見守っていた岸野講師は
「ウエディングのヘアメイクさんは、接客と技術の両方が必要です。
なので、在校生が、撮影を控えたモデルさんを気遣い、シューティングを終えた後もフォローできているかどうかを見ていました。
あとは、どんな現場でもそうですが『このヘアメイクさん、私を綺麗にしてくれそう!』
と思わせるような説得力がある人になれるといいですね」
と、期待を寄せました。
単にヘアメイクを作るだけでなく、
撮影のディレクション力、説得力、モデルさんを気遣う力など、さまざまな力が求められる撮影現場。
在校中から実践的な作品作りに取り組むことで、プロとしての基礎が養われていくんですね!
※1キューピットライン……上唇の山の部分のこと