「イラストをお仕事にしていきたい」と考えている人、イラストレーターに興味がある人に向けて、バンタンデザイン研究所1day体験授業が実施されました。
教えてくださるのは、萩森じあさん(以下萩森講師)。
- イラストレーター・萩森講師のWORKSは?
萩森講師「イラストレーターをやっており、楽しく過ごしております!おぎもりと呼ばれることがあるのですが、読み方ははぎもりです。関西出身で、3年前に上京してきました。ブルーを基調にして、青春の絵を描いております、オシャレとお喋りが大好きです。最近のニュースは結婚したことです!」とご挨拶すると、受講生からは拍手が起こりました。
では、萩森講師のお仕事とは……?
【装画】
「青春系小説の装画が多いです。最近では、『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』(ポプラ社)という短編集が発売されました!」
【表紙イラスト・DMイラスト】
『進研ゼミ』小学・中学・高校講座
「DMのイラスト、別冊表紙のイラストなどを担当させていただきました!」
【MVイラスト】
・初星学園「Luna say maybe」月村手毬さん、MV監督&イラストレーション
・プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク
「カラフルステージ劇中に出ている歌の、MV監督&イラストレーションもしています。監督をするときは絵コンテから考えます」
・「流星」めいちゃん MVイラスト ・すとぷり「虹のはじまり」MVイラスト
【広告】
・Ado「残夢」アルバム 広告イラスト ・日本マクドナルド SNS広告イラスト
・花王 リーゼヘアミスト 販促イラスト ・聖徳大学TVCMイラストなど、多数!
- 萩森講師による、オリジナル線画を用意!
萩森講師「この作品は前回のFAVOY(*1)のイラストの続きです。前回の作品と合わせることで、出発から到着までを表しています。ライブや音楽をイメージしていて、会場に向かう途中の自分だけの時間と解釈しました。“明らかに音楽”みたいなモチーフを散りばめると、単純な表現になってしまいます。電車内でありながら、『日常の中の非日常』を表現したいと思いました。例えば髪がふわっとしていたり、金魚がいたりすることで、『水中なのかなぁ?』と感じさせることがこだわりとなっております!」
ちなみに、制作時間は没頭しすぎて計測していないそう。
萩森講師「1日で仕上げる訳ではなく、何日にも分けて制作します!」
- 受講生も制作!基礎用語から解説】
萩森講師「普段は線画をメッチャきっちり描くタイプではないのですが……」と前置きし、線画を披露。今回のイベントのためにご用意いただきました!
受講生は、この線画に「CLIP STUDIO」というソフトを使って「色」を塗っていきます!
【POINT!デジタルイラストの「レイヤー」とは?】
萩森講師「レイヤーとは、『層』のことです。デジタルの場合、ミルフィーユのようになっています。いちばん上のレイヤーに線画があり、下のレイヤーに色を塗っていきます」
今回は、主に「ペン」、「塗りつぶし」、「けしごむ」を使います。
萩森講師「私はブルーを基調としていますが、それにとらわれないで描いてください!塗る順番に決まりはありませんが、私なら女の子から塗り始めるかなぁと思います。線画の下に『レイヤー』を追加して、肌から塗ります。いきなり濃い肌色ではなく、“薄い”肌色から塗ります。人の肌って、1色で成り立っているわけではありません。例えば、黄みの強い色にすると、日なた感があるので、もう少し落ち着いたトーンにします。肌の色にはこだわります!その次に、髪に取り掛かるかな」と解説しながら作業を進めていきます。
続いて、便利な機能を紹介。
萩森講師「CLIP STUDIOには『投げ縄塗り』というツールがあり、とても便利です!あとで色を重ねるので、肌色は、服やカバンにはみ出して塗るといいですよ」と説明し、肌の色→上半身の服(水色)→セーラー襟→リボン→カバンの順に塗っていきます。
- 背景のカラーを決める
萩森講師「背景を決めないと、顔をどう塗っていいかわかりにくいかも。なので、背景の大体の明るさを決めるといいですよ。
例えば、車内は明るくて、外は暗いバージョンと、車内は暗くて、外は暗いバージョン。
雰囲気が変わりますよね?どういう暗さ・明るさにするか決めましょう。人物を目立たせたいので、鮮やかでない色もいいかな」
ワンステップずつ解説しながら進めるので、初心者さんにもわかりやすいです。また、受講後半は、萩森講師自ら教室をまわって、アドバイス!
萩森講師「オリジナルの配色ですが統一感がありますね」と一人ひとりに、丁寧にフィードバックを行います。
「もっとこうしたらいい点は、ありますか?」と質問する受講生には、萩森講師自ら「カバンがレザーなら、ここにハイライトやシワをいれてみては」と筆を動かして、アップデートしてくれます。
ちなみに、萩森講師はキービジュアルとは別バージョンの“塗り”も披露。「車内を暗く、外を明るくしました。水彩っぽい風合いで本来のキービジュアルと違う現実的な背景を描いてみました!」
- 在校生の作品にフィードバック!
後半では、在校生メンバー2人の作品をブラッシュアップ。
萩森講師「ダークさとオリジナルさがあって、とっても格好いい雰囲気です!色味も直すことはありません。好きなイラストですが、惜しいところを調整しました」
・頬「頬を盛り上がらせると、女性は可愛らしく見えます」
・目「魚眼的な表現なのだと思いますが、目の幅を直しました」
・毛先「シュッとした印象なので、毛先もシャープにしたほうがいいです」
また、2作品目も同様に、金属の表現で「コントラスト(明暗の差)」や、黒く細い線を足して“金属っぽさ”を足しました!
最後はお待ちかねの質問タイム。
―― 絵の勉強はどうしましたか?
「美術大学には行っていません、私がデジタルに初めて触れたのは小学5年生のときで、当時YouTubeはありませんでした。本を買ってデッサンをし、他の人の絵を観ることもしました。なぜこの絵がいいのかを絶対に考えてきました。人の作品を観ることも勉強だと思います!」
―― 絵を描くときに、気を付けていることはありますか。
「注目させたいところに視線がいくことです。私の絵は、ブルーを基調としたものが多いのですが、ブルーはアイデンティティであり自由の象徴なんです。なので、ねじこむようにしています!赤をテーマにした作品でも、青を散りばめます」
最後に、「短い時間にも関わらず、皆さんとても上手に塗れていました!自由で、独自の配色でした。感性を大事にしてくださいね。皆さんの作品を見て『絶対に大丈夫!』と思います」とポジティブなメッセージで締めくくりました。
現役で活躍するプロフェッショナルから直接アドバイスをいただけるから、実践的スキルを効率的に習得することができます。
*1=イープラスが主催する音楽イベント。
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