King Gnu常田大希氏主宰・クリエイティブレーベル「PERIMETRON」。所属アーティスト・バンタンデザイン研究所OB森洸大さん×神戸雄平さんによる特別講演会を実施!

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「バンタンデザイン研究所での講演は2度目です。“にどめまして”の人もいるかもしれません」とご挨拶する神戸雄平さん。

8月下旬に行われた、クリエイティブレーベル「PERIMETRON」所属アーティスト森洸大さん(バンタンデザイン研究所OB)×神戸雄平さん講演会をレポートします。
スタッフがインタビュアーとなり、Q&A形式で進行します。

【1. 3DCGディレクター/デジタルアーティスト神戸雄平さんのキャリア】

神戸さん「ぼくは大学の教育学部に進学して、教員資格を取得しました。広告制作会社に企画営業として入社しましたが、向いていないと思いテレビの編集会社に転職。上京して映像ソフトをガシガシ使い始め、映像の仕事をするようになりました。
2017年に、millennium paradeの前進である『Daiki Tsuneta Millennium Parade』プロジェクトでライブ映像演出に携わりました」
2018年に、「King Gnu」常田大希さん主宰のクリエイティブレーベル「PERIMETRON」にジョイン。「3DCGを始めていまに至ります」

【2. デザイン/色流し/アートディレクション/造形/創作家・森洸大さんのキャリア】

森さん「グラフィックデザイン、造形、ペイントをしたりしています。ぼくは、藤沢市出身で、親の事情でLAなどで暮らしました。バンタンデザイン研究所 特殊メイク&ボディアート専攻で学びました。卒業後に3年ほどバンタンデザイン研究所で働かせてもらい、そこから独立しました」
フリーランスで特殊メイク/造形を中心に活動開始。2015年、新井緑、岩本薫と共に、 “極彩色流シ表現集団”DWSを結成。「墨流しという技法があるのですが、現代的に水性塗料に置き換えて表現するチームを始めました。2016年に佐々木集と出合い、一緒につくるようになりました。2019年にはアルバイトを卒業し、2020年からPERIMETRONに入りました。millennium paradeと、DWSの2つをメインに活動しています」
直近のワークスとして「King Gnu CEN+RAL Tour 2026」のグラフィックデザイン、シャンプー「MARO」のグラフィックデザインを紹介。
次に、神戸さんは、影響を受けたものの一例として『士郎正宗の世界展〜「攻殻機動隊」と創造の軌跡〜』を紹介し、森さんは、アメリカのプロレスラー・ジェフ・ハーディ、バンド「リンプ・ビズキット」のギタリスト・ウェス・ボーランドをピックアップ。「両者ともに顔にペイントをしたり、枠にとらわれないファッションスタイルなど、好きを貫く姿勢が好きですね!」と話します。

森さん「今日は『年鑑広告美術1971』という本を持ってきました。個人的にこの年代のグラフィックが好きで。いまはネットで情報を得られるし、大体のことは答えてくれますが、人が魂を込めたものをいちばん見せたい状態で見ることはすごく大事です!ネットで拾ったことのいいとこどりしてオリジナルにする、だと、ネットに選ばれたものでしか構築できません。なので、最近は書籍を買うようにしています」
神戸さん「ネットで見ていると大切にできていない感覚があります。PinterestやInstagramから昇華してもいいし、本を買うのが偉いということを言いたいわけではないんです。紙で読むと忘れない気がします。ぼくも若いころは図録とかを買いたくてもお金がなかったですが……」
森さん「デザインをやっている人にお金がまわってほしいよね」
神戸さん「自分もそういう風に大切にされたいね」

【3. チームでクリエイションする動機は?】

―― 他のクリエイターと、クリエイションをすることについては?
神戸さん「ひとりだったら、やっていないだろうね。チームの良さはいろいろあって、楽しいはいちばん上にありますが『こいつの前で格好よくいたい』があります。他の人がつくる姿勢でカッコいいと思うことが多々あって、それに並びたい。ぼくが格好いいと思う人にぼくもそう思われたい、簡単に言うと切磋琢磨だと思います」
森さん「確かに、『こいつに、カッケーと思わせたい』はある気がする。喜ばせたいなぁという気持ちもチームだからこそだし。ひとりで世に放たれていたら、何もできないよね(笑)。自分みたいな人間は、チームがあるからこそすごく頑張れる」

神戸さん「友だちだけれど、友だちじゃないみたいな感覚があるよね」
森さん「なんだろうね。家族でもないし、部活に近いのかな?不思議な感覚だよね。遠慮なく意見も言い合います」
―― 在校生(以下メンバーと表記)の場合、議論が過熱してしまうケースがあります。
神戸さん「20代前半では難しい気がします。でも、制作するときの会話の質は上げた方がいいと思う!仲良しこよしでヘラヘラしても仕方ないので。揉めればいいというわけではないけれど。ちなみに、『PERIMETRON』のロゴにはギザギザがついているんですが、これはパラメーターなんです。各々のパラメーターが丸いやつは一人もいないです」

【4. 「クリエイティブ」で大切なことは?】

―― クリエイティブな仕事を目指すメンバーに、作品のクオリティを上げることに加えて、大切だと思うことは?
神戸さん「30歳をこえるとモードが変わります。不健康の方がかっこいいと思っていたし、不健康の中にしか起こりえない毒や感覚を大事にしてきましたが、仕事を休んでしまうと、その負債の回収をするのも自分。パフォーマンスを発揮するためには健康でいないといけない。ひねくれや反骨心は、本当の不健康だとできないじゃないですか?『健康でありつつ、不健康でいたい』と思っています」
森さん「岡本太郎さんの言葉に『美しく怒れ』というものがあります。社会の一面に対して腹立つ気持ちは大事だと思いますし自分自身も燃料にしてきました。尖っていれば尖っているほどいいと思っていたんですけど、怒り方によって伝わり方が全然違う。自分の怒りが独りよがりだと、誰も共感してくれないし、怒りの行方が寂しくなります。人を傷つけるような方法ではなく、優しさや美しさのある怒りを。怒りの伝え方にも自分なりの美学を持つといいと思います」
――― 続けることも大切なことでしょうか?
神戸さん「自分で自分に驚きたいから、やることでしか辿りつけないと思います。いまからコンサルタントになるとかはないので、やるしかねー!という感覚を持っています。勝ち負けではないのですが辞めないこと。超辛いときもありますけど、超楽しいです!」
森さん「超楽しい!です。続けることは単純明快だけどいちばん強いです」

―― 具体的に、お仕事で楽しい瞬間は?
神戸さん「アーティストとお茶をしたりしているときに、その人の待ち受けが僕がつくったアートワークになっているのが見えたとき。嬉しいんだよね!」
森さん「それ、メッチャ嬉しいね!派手でいくと、チームの良さはライブで感じられます。曲、作品があり、ジャケット、ビジュアルをつくる人、ライブの演出とか、規模も大きくてメンバーも拡張します。グラフィック、映像をつくる人たちが一緒に喜べる瞬間があります。終わったあとの打ち上げで、皆が『お疲れさまでした!』という感じはすごい嬉しさですし、やっててよかったと思います」
神戸さん「ライブは快楽ですね!あとは、日々少しずつ制作が進むので、『1日分進んだ!』と思えて寝るときも嬉しいです」

【5. デモンストレーション!神戸さんがCGを制作、森さんがデザインをほどこしグラフィックを制作】

後半は、おふたりが日々の制作過程をデモンストレーション。

神戸さんが3DCGを制作し、森さんがグラフィックをデザインします。
神戸さん「『Cinema 4D』というソフトを使ってPERIMETRONカプセルをつくります!基本的な形は、“プリセット”として格納されていますが、カプセルをつくることではなく、格好いいグラフィックをつくるのがゴール。個人的には、細身なカプセルが好きです」と制作過程をシェア。

森さん「モットーとして、パソコンから出して自分を通したものを何かしら入れたいと思っています。手書きで描くのが好きで、スプレーの質感とか見栄えが派手でいいかなと思います」

良い質問をしてくれたメンバーには、今回のスペシャルデザインをTシャツにしてプレゼント!ということで、積極的に質問があがり、双方向の講義となりました。

現役で活躍するクリエイターから、これまでの歩みや、仕事との向き合い方を学べる、非常に貴重な機会。

シェアいただいたエッセンスを、今後のクリエイションにいかしていってください!



【PROFILE】
神戸雄平氏
3DCGディレクター/デジタルアーティスト
岐阜県出身、教育学部に4年間在籍後、広告制作会社に企画営業職として入社。1年も経たずしてテレビの編集会社に転職し、上京。映像の仕事を始める。
2017年にStudio Coastにて行われた「Daiki Tsuneta Millennium Parade」プロジェクトでライブ映像演出に携わり2018年にPERIMETRONにジョインし、3DCGをスタートする。

森洸大氏
DWS / millennium parade / PERIMETRON / 圓
色流シ家 / アートディレクター / アジテーター / グラフィック&マスクデザイナー
兵庫県の家系に生まれ、川崎、ロサンゼルス、藤沢で育つ。
2010年 バンタンデザイン研究所特殊メイク&ボディアート専攻を卒業後フリーランスで特殊メイク/造形を中心に活動開始。
2015年 バンタンデザイン研究所で出会った新井緑、岩本薫と共に“極彩色流シ表現集団”DWSを結成。
2020年 PERIMETRON / millennium paradeに参入。
東京を拠点にグラフィックデザイン、造形/マスク制作、アートディレクション、ペイントなど様々な表現スタイルを武器に活動中。

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