スタイリストTEPPEI講師にとって、仕事とは何か?クリエイションとは? 在校生と対話形式で講演会を実施!
【1. 在校生からの質問「アシスタントにつかず独立することは許されますか?」「どんな洋服を作れば、スタイリストさんが使いたいと思いますか」】
――これまで、いろいろなスタイリングを担当されたと思います。気に入っているスタイリングは?
TEPPEI講師「一つひとつのお仕事に対して、毎回感じるべきだと思います。自分の納得できるレベルを高めるか、僕らはサービス業なので、『発注して良かった』と思ってもらえるように遂行します。自分が納得できずに帰るということは、10年以上ないです。ただし、10代のときはそんなことは思っていなかったです。プロとして生活をしていて競争社会に身をおいているからこそ、こういう価値観が板づいていたと思います。世界観の話になりますが、映画監督でも画家でも、『この人っぽいな』という人間の奥深くの本質が投影されている要素があると、素晴らしいと思います」
―― ファッションプロデュース専攻です。スタイリングをしていくうえで、大切にされていることは?
TEPPEI講師「仕事では、なぜ発注を受けているか、何を求められているかだと思います。例えば、CMルックだとすれば、CMを見る人、お客さまが何を求めているのだろう?をしっかり理解すること。クライアント様が僕と共同でクリエイションすることでどのようなことを求めているか、それすらも、クライアント様自身が迷っておられるケースも多いです。短い時間の中でクイックに引き出していき、テーマ、コンセプトを設計していく行為を『ディレクション』と言います。サービスにおいて求められているものは何かを本質的に引き出していくこと、そして対価よりも納得感が得られるかどうかです」
―― スタイリストと、エディターどちらの職種を志望するかで悩んでいます。両方やれるという選択肢はないのでしょうか?その可能性についてうかがいたいです。
TEPPEI講師「まったく邪道ではないですね。海外誌は、ファッションエディターとスタイリストがクレジット表記されています。ステップアップしていくと、そういう仕事を担うようになります。両方やることでパフォーマンスがどうなるかは問わないといけないけれど、撮影現場でどちらもやることはいいと思います。自分自身も、企業、ブランドの目標をどう叶えていくか?根本から関わることが多くなっています。
肩書きがエディターのみの人と、ファッションに精通しマーケットも理解した総合力がある人だと、後者の方が、信ぴょう性が高いということもあります。
なので、答えとしては、自然な話だと思います」
―― アシスタントをしないで独立するという選択肢は許されるのでしょうか。
TEPPEI講師「僕はアシスタントについていません。社会に揉まれて、ノウハウを設計していきました。20年前、雑誌によく出ていたのでいまで言う“インフルエンサー”的価値があり、それしかすがるものがありませんでした。俺にセンスがあればいけるであろうという想いで賭けてみました。アシスタントにつかなかった分の洗礼を受けることもありましたが、クリエイションを高めるという作業においては、アシスタントになろうがなるまいが、一緒だと思います。現在ですと、自分には2人のアシスタントが存在しています」
―― ファッションデザイン科です。自分で制作した服を、衣装として貸出ししたいです。スタイリストさんから、どういう服を使いたいと思いますか?
TEPPEI講師「ニーズが一致したら、リースのキッカケにはなるかもしれません。自分の世界観の追求がピュアに発揮されているかどうか?が人の目にとまるキッカケだと思います。スタイリストの目にとまる速度は速くあるべきだと思いますし、人が感動すると、伝達のスピードは速いと思います。作品も見ずに、俺がどうこう言ったとて変えるべきじゃないと思います。貫けるほどの軸を持ってほしいです」
―― ファッションデザイナーから「洋服を使ってほしい」という連絡はありますか。
TEPPEI講師「めっちゃありますし、実際に使ったケースはあります。ワクワクしてものを作ったら絶対に見てくれる人はいます。デザイナーがめちゃくちゃ楽しんでいるのと同時に、着る人にとってもハッピーが叶えられる服は希望だと思っています」
―― ブランド独立を目的に、ファッションデザイン専攻で学んでいます。いま注目しているブランドは?
TEPPEI講師「誰に対して服を作っているか?が興味の対象です。媚びている服はあんまり好きではありません。媚びないというのはすごく大変です。貯金を崩しながら、売れるかわからず制作しているデザイナーは孤独だと思います。20年ちかく服を見てきた自負がありますから、自分が注目することで手を差し伸べられるのではないか。僕は良いときは良いと言いますし、辛辣に言うときもあります。いまで言うと『TTTMSW』、『TSTS』は誠意をもってものづくりをしていると思います。そうしたブランドの強度を上げていきたいので、定期的にミーティングをして、ルック撮影を担うこともあります」
【2. 「ファッションを通して自分が楽しんでやることが人のためになるといい」】
TEPPEI講師「10年ほど、1年に10日ほどの休みで、凄まじい仕事をしてきました。しかし、7月にオーバーワークで体調を壊しました。蕁麻疹もあり1日15分睡眠で、仕事とは何か、キャリアとは何か、クリエイションとは何かを自分に問いただしました。結果、『人のために生きすぎていた』という結論になりました。クリエイティブディレクターとはサービス業だ、と思っています。クライアントに応えることが、自分の価値だと思っていました。ですが、自己犠牲が過ぎていて、自分を思いやるかけらがありませんでした。「仕事ができなければ生きる価値もない」から、「少なくともファッションを通して自分が楽しんでやることが、人のためになるといい」という変化が心に生まれました。
皆さんが抱いている悩みをどう許容して、楽しさに変換していくのか?クリエイションを見た人、受け取った人に、楽しい・ハッピーをシェアできることは、この仕事の喜びであることは間違いありません。ただただ楽しさがあるとは、申し上げられません。でも、救ってくれたのもまたファッションです。シビア・シリアスなことを言いましたが、引き続き良い学校生活を送られてください。応援しています!」と、一つひとつの言葉を真摯に選び、締めくくりました。
バンタンデザイン研究所では、業界をリードするクリエイターから直接、考え方、仕事のノウハウを学ぶことができます。プロフェッショナルの覚悟や熱量をリアルに感じることで、自分自身が活躍していくヒントを見出すことができます。
【PROFILE】
TEPPEI講師
1983年生まれ、滋賀県出身。スタイリスト。2000年代「ストリートスナップ」カルチャーを牽引し、その後スタイリストとして活動を開始。現在はスタイリングの他に、アーティストイメージやヴィジュアルディレクションも手掛けている。
instagram:@stylist_teppei