バンタンデザイン研究所高等部には、
ファッション科、美容師・ヘアメイク科、スポーツ・デザイン科、デザイン・映像科など、さまざまな専攻があります。
今回は、自分が専門する分野とは異なるジャンルを体験するプログラムをレポートします。
他専攻と一緒に受講することため、自然とメンバー同士の交流も促されます。
在校生が訪れたのは、恵比寿にあるサウンドスタジオ。
「mouse on the keys」ドラムとして活躍する川崎昭講師が、音楽についての授業を行います。
川崎講師「今日はよろしくお願いします。mouse on the keysとして、
これまでに中国、アメリカ、カナダなど世界15カ国、300カ所を訪れました。
アーティストへの楽曲提供も行っています。僕は、建築の仕事もしています。
好きなことは自由にやったほうがいいし、興味があることはバンバン挑戦したほうがいいですよ」
とメッセージ。
川崎講師「音楽で重要なのは、数字の4です。ルールを知り、構造が分かるようになると楽しくなります。
デザインも、ヘアメイクもきっと一緒だと思います。これからひとつのゲームをします」
と言って、画面に映し出されたのは無数の数字。
<濱口秀司氏が提唱する「Structured chaos」概念について>
ここで、濱口秀司氏の提唱する「ストラクチャード・カオス」という概念を引用します。
川崎講師「画面には1から99までの数字が散らばって表示されます。
1から順に数字を数えてください。次の番号が見つからないからといってスキップしてはいけません。
制限時間は30秒です」
30秒でいくつまで数えることができましたか?各メンバーが「9」「13まで」と発表していきます。
川崎講師「実は、ランダムに散らばっているように見えて規則性があるんです。
これを踏まえて、もう一度、1から順に数字を数えていきましょう」
すると、全メンバーが1回目よりも多くの数字を追うことができました!
さらに、この図は4分割の規則性の中に、ABCという規則性をもって数字が並んでいることも明かしました。
「ストラクチャード・カオス」とは、論理思考と非論理思考の中間にある、最も創造性の高い思考モードのことだそう。
「Structured」は論理的で、左脳の機能。
「chaotic」は直感的で、その考えに理由がない右脳の機能を指します。
概念では、「Structured」と「chaotic」の中間地点が最も創造的な状態であるとされ、
そのゾーンを「Structured Chaos」と呼ぶそうです。
左脳と右脳の中間的ゾーンで音楽をとらえてほしいというメッセージを伝えたら……。
<知っているようで知らない。音符のこと>
次は音符について。ホワイトボードに4/4と記し……
川崎講師「これは、分数ではないんですよ。上の数字は一小節の中に音符がいくつ入っているかを意味し、
下は音符の種類を表します。4/4なら、4分音符が、一小節に4つ入っているという意味です」
と説明します。
<ドラムの基本姿勢>
いよいよドラムスティックを持ちます。
親指、人差し指でスティックを握ります。残りの三本指は添えます。
ワキをしめます。
手の向きを「ハ」の字にします。これが「セットポイント」と呼ばれる位置!
川崎講師「よくドラムを叩く、と言われるけれどそうではなく『遠心力で振り上げて落とす』イメージです。
力を入れて叩くと手首を痛めてしまいます。道具の使い方や所作を知ってください。
これは皆さんが日々学ぶ専門分野にも活かされることです。
単純なことの中にこそ、宇宙があると僕は思います」
<ドラムの基本!4種類のストロークとは>
ドラムの奏法は4種類。
1.タップストローク
2.アップストローク
3.ダウンストローク
4.フルストローク
川崎講師「タップストロークは、打面から5cmくらいから振り、バウンドさせたらつかむようなイメージです。
低い位置で始まり、低い位置で止めます」
講師のデモンストレーションを見て、マネするメンバーたち。
初めてとは思えないほどの見込みが早いです!
続いてのアップストロークは
川崎講師「振った後に打面からのリバウンドを用いて、高いポジションまで戻す奏法です。
アップはね、高い位置まで上げていいです!スティックが孤を描くようなイメージで!」
ダウンストロークは、高い位置から打面を打ったら、低いポジションで止める奏法。
フルストロークは高い位置から打面を打ち、再び高い位置に戻すストロークです。
川崎講師「4分の3拍子、4分の2拍子、などというと難しいかもしれませんが、
言葉を当てるととても理解がしやすいです。
今回は駅名を言いながら、同時にストロークで表現してみましょう」
ヨノ、ヨノ、ヨノ、ヨノ……(4分の2拍子)
ウラワ、ウラワ、ウラワ、ウラワ……(4分の3拍子)
カワグチ、カワグチ、カワグチ、カワグチ(4分の4拍子)と、
言葉を入れるだけでリズムがとらえやすくなります。
さらに、演奏を見ているメンバーは手拍子をして奏者をサポート。
メンバーたちは右脳と左脳の中間的ゾーンに入っている様子で、ドラム演奏を楽しんでいました!
参加したデザイン・映像科1年日置さんは
「もともと和太鼓を10年ほどやっていたので、ドラムと共通項が多く面白かったです。
他の学科のメンバーと一緒に学ぶ機会も新鮮で、楽しかったです」と話します。
特別プログラムを通じて、「右脳と左脳をバランスよく活用する」「道具の使い方や所作を知る」
などたくさんの気付きを得られたはず!
<mouse on the keys PROFILE>
https://twitter.com/mouseonthekeys
ピアノとドラムによるロック・テクノ・ジャズ・クラシック・ヘヴィメタルなどを混ぜ合わせた独特の音楽性を持つバンド。
ライブでは、ドラムとキーボードの同時演奏、VJによる映像と融合など新境地のパフォーマンスを開拓しています。